くじらの話

よしよし。ちょっと機嫌がよくなったから今日大流行したくじらの話でもしてやろうか。


いや、僕はこんな、「してやろうか」なんて言うような横暴な人間じゃないんだよ。見逃しておくれよ。


さて、今、鯨は商業捕鯨が禁止されているおかげでどんどん増えているそうな。
街を歩きながらお洒落ぶったアベックがぱくついているそのくじらだって、“研究目的”って名目で捕られた鯨の肉なのだ。
そう、今、鯨は増えているのだ。


こんな計画があった。
『くじらを宇宙へ〜宇宙くじらの新世紀〜』
まぁ、名言はできないがN○SAとその研究員と懇意のマッドネイチャリスト・サイエンティストの考えそうなことだ。だいたい、主題と副題で「くじら」と「宇宙」をそれぞれ2回使うあたりがまどろっこしい。科学者の考えそうなことだ。
なんでも、くじらを宇宙へ打ち上げ――生身のくじらに3段ほどの補助ロケットをとりつけ、随時切り離していく、という方式らいしが――例えば、100頭打ち上げたとして、そのうちの1頭でも、突然変異的なことで宇宙に棲めるようになったらもう、連中の思う壺。宇宙くじらの誕生だ。宇宙を優雅に泳ぐくじら。出来れば白いくじらが良いが、我々はつい、「白クジラ」ときくと、ゼンハイザーのMD421の白いのを思い出してしまうので、その辺は上層部の裁量に任せるとしよう。きっと最良の方法を見つけてくれる筈だ。
さて、ここで皆さん一様にある疑問がある。とお察しします。
それは、「宇宙くじらって何のために?」というものであるだろう。


はい     いいえ


さて、18才未満の方がいつもどおりヤフーへとお帰りになられたところで、お答えしよう。ただし、これから述べるのはあくまで私の推測である。と、いうのも、私は航空宇宙局の人間ではないからだ。そう、計画の詳細は――連中がいつもそうするように――部外秘なのである。
宇宙くじらはなんかかっけー。宇宙戦艦みたいですらある。僕の知り合いのある男などはこの計画を聞き、「くじらの口から波動砲が出そう」などとのたまったほどである。
あと、グノーシスの船みたい。(決してグノーシス主義について言及しようというのではなく、ゲーム『ゼノサーガ:エピソード1〜力への意思〜』に登場する名詞としての“グノーシス”である。)


さて、しかしこの計画はあえなく失敗する。少なくとも我々大衆が知らされたことには。
なんでも、話によると、くじらが大気圏突入に耐えきれなかったらしい。



ところで、くじらは増えている。そして、くじらは頭が良い。あれだけの巨体。きっと脳みその容量もすげーハズ。
いまや、世界各国のトップには少なからずくじらの手(ヒレ)が入り込んでいるという。


名言は避けるが、大西洋沿いのある国ではもう6年ほど前からくじらが首相になっているそうだ。流石にアメリカ合衆国はくじらに対しての根強い差別があるので、国家のトップレベルまではまだくじらの手(ヒレ)は及んでいないが、海沿いのある州では、次の州知事がくじらになる、という噂もまことしやかに囁かれているという。
ここ日本でも、各政党の議員の2割強はすでにくじらだ、という話もある。
昨今話題のIT業界においても、若手くじら社長の活躍が目立つ。


しかし、くじらは水中で生活する方向へとその肉体を進化させた生物である。陸にあがると、自分の体重を自分の筋力や骨の強度では支えきれないのではないか、との危惧もある。
そんなくじらがこれだけ陸上の我々人間の世界にその手(ヒレ)を伸ばし、よもや世界をその手(ヒレ)中に収めようとしているのにはわけがあるのだ。


それが、人呼んで「くじらの戦士」。彼らは見た目は非常に人間に近い存在だが、その実態はくじらであり、くじらのために働く。いまや世界中の人口の8%ほどがこの、「くじらの戦士」だという統計結果も出ている。くじらの戦士はくじらによって創造され、くじらによってのみ生きることを許され、くじらの夢を見、くじらのためなら火の中水の中、くじらをこよなく愛し、尊敬し、また畏れ、くじらによってのみ世界は救われ得る。と信じて疑わない。


と、まぁ今回はこの辺で。これ以上書いてしまうとくじらに何をされるかわからないので。


■参考くじら系サイト
http://www.e-kujira.or.jp/index.html
http://www.ztv.ne.jp/ken-o/kujiraniaetara.htm
http://www.mnet.ne.jp/~whalenas/
http://www.town.taiji.wakayama.jp/museum/